世界から猫が消えたなら (2016)

川村元気の同名小説を佐藤健主演で映画化したヒューマンドラマ。余命わずかと宣告された30歳の男が、悪魔と取引し、大切なものと引き換えに1日の命を与えられ、かつての恋人や親友、両親の想いを知る姿を描く。佐藤が主人公と悪魔の2役を演じるほか、宮崎あおい、濱田岳、奥田瑛二、原田美枝子といった実力派が顔を揃える。

世界から猫が消えたなら (2016)のあらすじ

月曜日。体調不良に悩まされていたが、ただの風邪だと思っていた「僕」は医者の診察を受けた。そして進行した脳腫瘍であると告知された。家に戻ると、自分そっくりの容姿の「悪魔」を名乗る者が現れる。悪魔は、「世界からひとつなにかを消すと、1日寿命が伸びる」と告げ、僕の周囲にある「物」を消し去ることを提案してくる。そして、最初にその時たまたま使っていた「電話」をこの世界から消すことにする。悪魔は電話を消す前に最後に1度だけ電話を使ってもいいということになり、3年前まで付き合っていた元「彼女」に電話をかけた。

火曜日。僕は彼女との待ち合わせの場所に向かう。彼女と再会し、かつての思い出話や僕の両親たちのことを語りあって、彼女からいくつかの質問をされる。その質問の答えのひとつ「好きな場所」が映画館にあることを思い出し、それを彼女に伝えようとするも電話は消してしまったことに気づく。そして、付き合い始めの頃に携帯電話を持っていなかった彼女とうまく連絡できなかったことを思い出し、当時の彼女の心境を感じることとなる。そして家に帰ると悪魔は、次は「映画」を世界から消してしまおうと提案してきた。

水曜日。最後に見る映画を選ぶため僕は友人(ツタヤ)の勤めるレンタルビデオ屋(勤めているのはTSUTAYAではなく、古いレンタルビデオ屋)に向かう。友人とのやり取りから『ライムライト』のDVDをレンタルしてきたはずだったがディスクは入れ忘れられていて、作品を見ることができなくなった。そして僕は映画館に勤める彼女の元を訪れ、2時間空白のスクリーンを鑑賞する。真っ白なスクリーンを見つめる僕の心の中には、かつて家族で鑑賞した『E.T』のストーリーと、当時の仲の良かった家族のことが思い浮かんでいて、癌で死んだ母、疎遠になっている父について思いをめぐらせる。

木曜日。悪魔の次の提案は、世界から「時計(時間)」を消すことであった。そのことにより時計屋を営む父のことが気になっていたが、その日から僕の飼い猫の「キャベツ」が人間の言葉でしゃべるようになっていたことに気を取られる。キャベツにせがまれ散歩に出かけると、時間という物に捕らわれず日々の日課をこなして行くキャベツの姿から人間がいかに時間に追われ縛られる生活を送っているかに気づかされつつも、キャベツが自分(猫)を拾って来た死んだ母のことをまったく覚えていないことに驚く。そして僕はキャベツに母のことを語るため、僕と父と母とキャベツの3人と1匹で行った最後の家族旅行の写真を見つめ、母の最後の時の出来事を振り返る。

金曜日。悪魔は、世界から「猫」を消すことを提案する。僕はキャベツの前に飼っていたが癌で死んだ猫「レタス」のことを回想し、レタスと同じように母も癌によって死を迎えたことを振り返る。そして世界から猫を消すことは自分の家族とその記憶を消し去ってしまうことだと思い、僕は世界から猫を消すことに迷いを覚える。決断の前にキャベツの姿を見ようとするも家にキャベツはおらず、街中を駆け回り彼女の勤める映画館にその姿を見つける。映画館で再会した彼女は、僕の母親より生前に預かったという手紙を取り出し僕に渡す。そしてその手紙を読んだ僕は母の思いを知る。夢か現か、キャベツが再び喋り出した。「お代官様には、生き続けて欲しい。拙者は、お代官様のいない世界でこれから生きていくのは辛いのでござる」嫌がる僕にキャベツは昔、母が僕にかけた「ちょっとした魔法」を僕にかけてみせた。

土曜日。僕は世界から「猫」を消さないと選択した。そして僕は最後の日に備えるため身支度を始める。片付けの最中見つけた思い出の詰まった箱を見つめ、こどもの頃のことや両親のことをあらためて振り返る。そして父に宛てて手紙を書くことを決める。

日曜日。父宛ての手紙を書き終え、その手紙をポストに投函する。そしてキャベツを預けるため隣町の父の元へ向かう。

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